劇団往来創立40周年記念　第58回公演　
​音楽劇
​赤いハートと蒼い月

「夢はないほうがいい。夢があるとつらくなる」。こんな悲しい言葉を、二度と中国の視覚障害者たちに言わせてはいけない。

「障害者に学問はいらない。食べていけさえすればそれでいい」。

こんなひどい言葉を、二度とその家族や盲学校の教師たちに言わせてはいけない。そんな思いで30年、中国人スタッフとともに教育支援活動を続けてまいりました。天津市視覚障害者日本語訓練学校は世界で最も小さな私学ですが、その教育理念は、孔子の説く「教え有りて類無し」。教育を受けたいと望むすべての人々に門を開くこと。

まさに教育におけるバリアフリーです。その教育理念はやがて、障害者と健常者が共に学べる場を無償で提供するという、前代未聞の、世界に一つしかない日本語学校となりました。
　私にとって、「赤いハート」とは教育です。教育は万能薬ではありませんけれど、生きる力を与えてくれます。閉ざされた無知の闇から救い出し、開かれた自由な世界へと導いてくれます。差別や偏見と闘い、平等な権利を勝ち取る能力を授けてくれます。教育さえあれば、どんな夢でもかなえられる。私はそう信じています。どうか皆さんも「赤いハート」を持って、それぞれの「蒼い月」を探し続けてください。